数日前のことだったと思う。
なんとなくテレビのチャンネルを変えていたら、「モラハラ夫をもつ妻からの相談メール」が読まれていた。
お昼の番組だったと思う。
モラハラっぽい夫にどうすればいいのか、という妻の悩みだった。
私はチャンネルを変える手を止めて、その答えを聞くことにした。
出演者がどんなアドバイスをするのか、興味があった。
そのアドバイスが「黒田官兵衛になれ」みたいな内容だった。
私はその答えにがっかりした。
いや、がっかりというよりも、腹が立った。
話が終了し、番組を消した後も、モヤモヤした。
別に「黒田官兵衛」だったことが問題なワケじゃない。
私がなんで腹が立ってモヤモヤしているか、書いてみようと思う。
モラハラ夫ってどんなものか
私の実体験から感じたことだが、モラハラというのは他人に説明するのが難しい。
というのも、モラハラ夫の言動のひとつひとつは実にくだらなくどうでもいいことばかりだからだ。
だから、他人に説明するとただ夫の悪口を言っているように思われてしまう可能性がある。
さらに、夫の言っていることは間違いではないのだ。
これが厄介で、常識とか正当性とか正義とか普通とかそういう一般的に良しとされるものを振り回して攻撃してくるんだ。
分かりにくい方は、SNSとかで正義振りかざして思いっきり攻撃してくる奴を想像してもらえたら良いと思う。
SNSで強気に人を攻撃しまくっている人も、実生活では普通に仕事してたり家庭生活送っていたりするよね。
モラハラ夫もそんな感じ。
家庭内では正義振り回して執拗に攻撃してくるけど、いったん外出ると超良い人なんだよ。
自分を変えることは答えじゃないと思う
先にも書いたが、私は「黒田官兵衛的思考をしてみたらどうか」っていうテレビで見たアドバイスに腹が立った。
「あなたが変われば良いのよ」的なアドバイスってなんなの。
もしかしたら、その相談を送った人は、このアドバイスを良いものと感じたかもしれない。
でもさ、私はこのアドバイスはクソだと思ったね(失礼)。
「自分が変わればいい」なんて発想していたら、それこそモラハラ夫の餌食になる。
私は「自分が変わればきっと夫も変わってくれる」と思って、何年も頑張っていく中でどんどん気力が奪われていった。
そのうちに、生きる気力がなくなり、いつの間にか毎日自殺のことばっかり考えるようになっていた。
「考え方を変える」前にやることがある。
それは、まずモラハラがとてもひどく最低なことなんだと認識することだと思う。
日常的なモラハラが異常な事であることに気が付いてほしい。
じわじわと浸透するモラハラ
優しかった夫が、ある日突然モラハラ夫に変身したら、多分即刻離婚を考えると思う。
だけど、なんでだろう?
ちょっとずつモラハラを出してくるんだよね。
(私の経験談だから、もしかしたら急激なモラハラもあるのかもしれないけど。)
何年もかけてゆっくりとじわじわと、日常にモラハラが浸透してくる。
だから、最初はちょっとした夫のイライラに合わせちゃう。認めちゃう。
いや、最初は抵抗してたな。
「それはおかしいと思うよ」とかはっきり意見言えてたな、私。
でも、私が反論すると何時間でも説教された。
私のどこが悪かったのか反省したことを言えなどといわれ、何がなんだか分からなくなっていった。
きっかけは本当にくだらないことなのに。
そのくだらないことに、何時間もかかるから本当に疲れる。
例えば。
「シャンプーの残りが少ない」
(まだ入っているんだから使えるでしょ、それにストックあるからなくなったら自分でいれればいいんじゃない?)
「お風呂の洗剤ケースが汚れてる」
(てかさ、あんたの持ちこんでるスピーカーの方が汚いやん…)
飼い猫が部屋を汚した時、こんなことも言われたことあります。
「この汚れがとれなかったら出て行ってもらうからな」と。
(え?もともとあなたが飼っていた猫ですよ…)
こんな些細なことがきっかけで、長時間説教、人格否定…。
頭がおかしくなる…。
こういうことが、2人目の出産を機にひどくなっていった。
小さい子がふたり家にいると、何かと忙しく、夫に反論して時間を無駄にするわけにはいかない。
なので、私は反論することがなくなっていた。
そして、夫のモラハラは完全体になった…。
考え方や心の持ち方の提案がありえない
私自身気付かぬ間にモラハラが私の心を蝕んでいった。
でも、もとが優しい夫だった。
優しい時を知っていたからこそ、私は「自分が変われば相手も変わる」と信じてた。
私は自分の経験から、こういう心理になるのは危険だと思う。
だから、あのテレビのアドバイスを聞いた時、無性に腹が立ったのだ。
変わる必要なんてないのだ。
「こういう風に考えてみたらどうですか?」って考え方を提案されるのって、まるで「モラハラを受けるあなた自身に問題があるんですよ」って言っているみたい。(曲解だけども)
「黒田官兵衛みたいに強く賢い人物になれ」なんて、言われるのはおかしい。
モラハラ被害者は弱っている。
でも勘違いしてほしくないのは、弱い人だからモラハラを受けているワケじゃない。
もともとは強かったかもしれないし、明るく聡明だったかもしれない。
でも、モラハラを受けたから弱ってしまった。
変わらなければいけないのはモラハラをする側で、される側じゃない。
相談するのも勇気がいる
モラハラ被害者がモラハラについて誰かに相談するのは勇気がいる事だと思う。
それは、日常的にモラハラ加害者から「お前は人間として劣っている」ようなメッセージを送られているからだ。
自尊心を十分すぎるほどに傷つけられると、「私が悪いから仕方がない」なんて考えてしまう。
「自分が悪いのかもしれない」と思うと、第三者に相談しづらくなる。
それに怒り出すきっかけが「掃除が十分にできてない」とかいう些細な事だから、他人に話すと、「あぁ、もっとこうした方が良かったかもね」なんて言われるかもしれない。
日常的にモラハラ加害者から傷つけられているから、さらに傷つくのがとても怖くなる。
うっかり相談して、「あなたがもっとこうすれば良かったんじゃないの?あなたにも悪いところはあるんだから…」なんて言われたら辛い、怖い。
私はこんな思いが頭に浮かんで、人に悩みを相談できなくなっていった。
番組ではせっかく相談を送ってくれたモラハラ被害者への共感の気持ちとかいたわりの気持ちが感じられなかった。
相談するのにも勇気がいるという事を忘れないでほしい。
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さいごに
モラハラ被害者である相談者に「変わる」ことを提案したこと。
そのことがとても気になったので書いてみました。
もしかしたら相談者は「黒田官兵衛」を見本に立ち直れるかもしれないけどね。
相談してくれてありがとう…、話してくれてありがとう…。
そんな思いやりのある言葉があったら、もやもやしなかったのかもしれない。
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