【エール】音楽は軍需品…戦争に歌が利用されていく
朝ドラ「エール」を見ていて、戦時中の歌の使われ方を考えさせられました。そのことについて書いています。
「若鷲の歌」の影響力が大きすぎて怖い
朝ドラ「エール」は只今(2020年10月8日)戦争真っただ中。
国民に次々と召集令状が送り付けられている中、裕一の元へも届いた赤紙。
裕一は、映画の音楽づくりを依頼されたことがきっかけとなって、兵役を免れた。
が、「国のために戦う」ことができない自分を責める裕一。
その罪悪感から、ますます「国民のために自分のできること」を一生懸命取り組むことになった裕一。
そして完成したのが、予科練の曲「若鷲の歌」。
映画「決戦の大空へ」が封切られると、裕一の作った曲「若鷲の歌」も大ヒットを記録した。
「若鷲の歌」5分で曲を書き上げたという裕一に、三隅さんはぼそっと「天才って嫌い」と言ったが、裕一は才能だけじゃない。努力の人だった。
西洋音楽で賞を取ったが、恐慌を理由に留学はなくなり、一度は音楽を諦めた。
音のおかげで、再び音楽を始めたけれど、コロンブスレコードではまったくの売れない作曲家だった。
西洋音楽にこだわって、世間が求める曲を作ることができなかったからだ。
その殻をやぶってくれたのが、早稲田大学応援団団長だった。
団長の思いが裕一の心を動かし、応援歌「紺碧の空」が誕生した。
裕一が作る曲には、人を応援したい裕一の気持ちがはいっている。
戦争が良いか悪いか、と考えたら戦争は悪い。
たくさんの人が死ぬ戦争。戦争のために自由が奪われる。
その戦争のために利用されていくことになる裕一の音楽。
戦況は思わしくなくなり、召集令状は徴兵検査で“丙”になった者にまで届くようになる。
もう負けるんだ、戦争はもうやめた方が良い。
鉄男も木枯も、政府が嘘をついているのを分かっている。
戦況が悪化しているのにも関わらず、一切報道せず、戦意だけを高揚させ、純粋な若者を焚きつけるやり方に疑問をもっている。
この二人は、裕一を心配して、さりげなく忠告のような言葉を放つけれど、決定的な言葉は言わない。
裕一の意思を尊重し、そっと見守っている。
「僕はね、ただ、お国のために頑張ってる人を応援したいだけ。それが今の僕にできるたった一つのことだからね。」
(エール第80話)
裕一が戦争の曲を作り続けるのは、国のために頑張る人のためだ。
自分の命が危険にさらされても戦う軍人のために、裕一は曲をつくる。その純粋な気持ちを知っているから、鉄男も木枯も、何も言えない。
ただ応援したい。それだけの純粋な気持ちで曲を作っているというのに、周りはそれを許してくれない。
裕一の才能がずば抜けていること、裕一が真面目で一直線だということが、不幸にも軍に利用されていく要因となったようだ。
裕一の思いとは裏腹に、「裕一が作った曲のせいで無駄に戦意を高揚させられ、戦争に行く気がなかった者まで戦地にいくことになる」という現象が起きている。
裕一の曲は、本来なら違う生き方をしていただろう人まで戦地に駆り出してしまう力があったのだ。
ここまでの重荷を、人は背負えるのだろうかと思う。
自分の作ったものが、人の運命を変える。本来なら生きて大人になったであろう少年が、裕一の曲に影響を受けて予科練に入り死ぬことになる。
「歌には、人の心を奮い立たせる力があります。何百万人の心を一つにする力があります。どうかこれからも、命を賭して生きる若者のために、よろしくお願します。」
(エール第83話)
歌には力がある。
そして怖さもある。
歌の影響力を身をもって体験したことのある五郎ちゃんはだからこそ、裕一の曲に危うさを感じ、意を決して物申したのだろうか。
「差し出がましいようですが、先生には戦争に協力するような歌は作って欲しくないです。 人を幸せにする音楽を作って欲しいです。」
「先生の歌を聴いて軍に志願した若者がたくさんいます。 お国のために戦わねばならない人がいます。」
(エール第84話)
五郎ちゃんは裕一を心から尊敬していた。
その五郎ちゃんが裕一の今の仕事を否定するかのような発言をするには、相当の覚悟が必要であっただろう。
この五郎ちゃんの覚悟が、キリスト教と無関係なところから出てきたのなら、とても好感が持てたと思う。
恩人に嫌われてでも、恩人のために最も言いにくい事を言う。
キリスト教に影響を受けたからとかじゃなく、裕一のもとで学んだたった一人の弟子だからこそ裕一に言いにくい事を言ったんだぞって感じにしれくれたら、五郎ちゃんは超カッコよかったと思う。
「戦争に行く人が増えれば無駄に死ぬ人が増えるだけです。」
(エール第84話)
私たちは少し先の未来でさえも、どうなるか分からない。
正解が何かどうか、何であるのかを前もって知ることは不可能なのだ。
五郎ちゃんが言った「無駄」が本当に無駄だったかどうかなんて、誰にも分からない。
その人の人生が、命が、他人に「無駄」であったかどうかを語られることも耐え難いと思う。
五郎ちゃんがこうまで言ってしまったのは、キリスト教に影響を受けすぎてしまったからだろうか…。
「命を無駄というな!」
(エール第84話)
穏やかな裕一が、その怒りを隠すことなく露わにしたことが胸を打った。
裕一が音楽とどう向き合って生きていくのか、これからの「エール」がとても楽しみだ。
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以上が、朝ドラ「エール」の感想でした!
最後まで読んで下さりありがとうございました♪
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